「統制主義は武道選手の決勝戦前の合宿のようなものだと思う」

- 1889年1月18日~1949年6月15日(60歳没)
- 日本出身
- 陸軍軍人、戦略家、思想家、著述家
原文
「統制主義は武道選手の決勝戦前の合宿のようなものだと思う」
解説
この言葉は、石原莞爾が統制主義を戦争や国家運営の準備過程にたとえたものである。彼は、武道選手が決勝戦前に合宿で精神・体力を鍛え上げるように、国家もまた最終決戦に備えて統制経済や統制社会を築き上げる必要があると考えた。つまり、統制主義は恒常的な体制ではなく、決戦のための一時的かつ必然的な訓練期間であるという比喩である。
背景として、1930年代から40年代にかけて日本は戦時体制を強化し、経済・社会・文化のあらゆる領域に統制が及んでいった。石原はこれを単なる抑圧や制限と見るのではなく、国民を総力戦に向けて結集させるための合理的手段と捉えたのである。彼にとって統制は最終目標ではなく、戦争という「決勝戦」に勝利するための過程にすぎなかった。
現代の視点からは、この考え方には危うさがある。統制は確かに短期的には国家の力を集中させるが、長期的には個人の自由や社会の柔軟性を失わせる危険性を伴う。今日では戦争準備ではなく、例えば感染症対策や経済危機における一時的な緊急措置の中に、この発想を読み替えることができる。石原の比喩は、統制の本質を「非常時における訓練・結集」として理解する一助となるが、同時に常態化の危険を警告するものとしても捉えるべきである。
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