「最終戦争即ち王道・覇道の決勝戦は結局、天皇を信仰するものと然らざるものの決勝戦であり、具体的には天皇が世界の天皇とならせられるか、西洋の大統領が世界の指導者となるかを決定するところの、人類歴史の中で空前絶後の大事件である」

石原莞爾(画像はイメージです)
  • 1889年1月18日~1949年6月15日(60歳没)
  • 日本出身
  • 陸軍軍人、戦略家、思想家、著述家

原文

「最終戦争即ち王道・覇道の決勝戦は結局、天皇を信仰するものと然らざるものの決勝戦であり、具体的には天皇が世界の天皇とならせられるか、西洋の大統領が世界の指導者となるかを決定するところの、人類歴史の中で空前絶後の大事件である」

解説

この言葉は、石原莞爾の「最終戦争論」における核心部分の一つである。彼は人類の歴史を「王道」と「覇道」という二つの原理の対立として捉え、最終戦争とはその決着をつける戦いであると位置づけた。ここで王道とは天皇を中心とする道義的秩序、覇道とは西洋的な権力と合理主義による秩序を意味している。

当時の国際環境において、日本は欧米列強と対峙しつつアジアの指導的地位を主張していた。石原はその構想の延長線上で、最終戦争は東洋的王道と西洋的覇道との文明的対決であり、その帰趨によって人類史が大きく転換すると考えた。彼にとって天皇は単なる日本の元首ではなく、世界秩序の象徴として位置づけられていたのである。

現代の視点から見ると、この思想はきわめて時代的かつイデオロギー的である。結果として第二次世界大戦における日本の敗北は、この構想の実現を不可能にした。しかしこの発言は、戦争を単なる軍事衝突ではなく、人類史的な文明の決戦と捉える発想を示しており、20世紀前半の日本の軍事思想や世界観を理解するうえで重要である。同時に、国家的イデオロギーが戦略をいかに規定するかを示す歴史的な教訓ともいえる。

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