「それでも私は政府に対し、インドの民衆を絶望へと追いやらないよう求めたい。さもなくば、人々に残された道は非協力の方針を開始することしかなくなるであろう。ただしそれは必ずしもガンディー氏の計画そのものではない」

- 1876年12月25日~1948年9月11日(71歳没)
- パキスタン出身
- 政治家、弁護士、パキスタン建国の父、初代総督
英文
”I would still ask the government not to drive the people of India to desperation, or else there is no other course left open to the people except to inaugurate the policy of non-cooperation, though not necessarily the programme of Mr. Gandhi.”
日本語訳
「それでも私は政府に対し、インドの民衆を絶望へと追いやらないよう求めたい。さもなくば、人々に残された道は非協力の方針を開始することしかなくなるであろう。ただしそれは必ずしもガンディー氏の計画そのものではない」
解説
この言葉は、ジンナーがイギリス政府に対して警告と提言を行ったものである。彼は植民地政府の強硬な政策が民衆を追い詰めれば、必然的に抵抗運動が激化することを見抜いていた。ただし、ここで強調されているのは、非協力運動が不可避の流れである一方で、それが必ずしもガンディーの思想や手法に従う必要はないという点である。ジンナーは、ガンディーと異なる立場からも民衆の抵抗権を支持していたのである。
歴史的背景として、この発言は1920年代の非協力運動期に関連する。ガンディーは大規模な不服従運動を展開したが、ジンナーはその宗教色や大衆動員の方法に疑問を抱き、独自の路線を模索していた。しかし、政府が民衆の声を無視すれば、いずれ形はどうあれ抵抗が必然化することを認めざるを得なかった。ここにジンナーの現実的で柔軟な政治姿勢が表れている。
現代においても、この言葉は重要な示唆を与える。国家が人々の要求を無視し、圧迫的な政策をとれば、抗議運動や抵抗は必然的に生じる。アラブの春や東欧の民主化運動などもその例であり、権力が民衆を絶望に追いやるとき、社会は非協力や抵抗へと向かうという普遍的な教訓を示している。ジンナーの発言は、民衆の声を尊重することの政治的必然性を力強く語っている。
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