「夫の神聖不可侵の権利は、王の神聖不可侵の権利と同じように、この啓蒙の時代には危険なく争われることを望みます」

- 1759年4月27日~1797年9月10日(38歳没)
- イギリス出身
- 作家、哲学者
英文
”The divine right of husbands, like the divine right of kings, may, it is hoped, in this enlightened age, be contested without danger.”
日本語訳
「夫の神聖不可侵の権利は、王の神聖不可侵の権利と同じように、この啓蒙の時代には危険なく争われることを望みます」
解説
この言葉は、家父長的支配の正当性を根本から問い直すものである。かつて王が「神の権利」を根拠に絶対的権力を主張したように、夫もまた「神聖な権利」として妻に対する支配を当然視してきた。しかし著者は、それを啓蒙の時代においては批判し議論することが可能であるとし、権威の神話を打ち破る姿勢を示している。
この発言は、政治と家庭の領域を重ね合わせている点に特徴がある。絶対王政が批判されて立憲政治へ移行したのと同様に、家庭内でも夫の絶対的権力は正当化されえないと論じている。つまり、理性と平等を基盤とした関係性は、国家と個人の関係だけでなく、男女の関係にも適用されるべきだと主張しているのである。
現代社会においても、この名言の意義は大きい。伝統や宗教を根拠にした性別役割の固定化は依然として世界の多くで見られるが、啓蒙思想に基づく平等の理念はそれを揺るがしてきた。この言葉は、理性と批判精神によって支配的な権威を問い直す勇気を鼓舞し、男女平等の実現に向けた普遍的な指針を与えているのである。
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