「女性は感情を鎮めるのに十分な仕事を与えられることがほとんどなく、ささいな心配事や虚しい追い求めに心身の力をすり減らしてしまい、結果として自然に感覚の対象にすぎない存在となってしまいます」

メアリ・ウルストンクラフト(画像はイメージです)
  • 1759年4月27日~1797年9月10日(38歳没)
  • イギリス出身
  • 作家、哲学者

英文

”Women have seldom sufficient employment to silence their feelings; a round of little cares, or vain pursuits frittering away all strength of mind and organs, they become naturally only objects of sense.”

日本語訳

「女性は感情を鎮めるのに十分な仕事を与えられることがほとんどなく、ささいな心配事や虚しい追い求めに心身の力をすり減らしてしまい、結果として自然に感覚の対象にすぎない存在となってしまいます」

解説

この言葉は、18世紀社会における女性の地位と教育の欠如を痛烈に批判している。当時の女性は実質的な学問や職業の機会を与えられず、日常的な些事や表面的な楽しみに時間を費やすしかなかった。その結果、知性を育てる余地を奪われ、感情や外見のみで評価される存在へと押し込められていったのである。

ここで著者は、女性をそのように「感覚の対象」として扱う社会の構造を問題視している。もし女性に十分な教育や有意義な仕事が与えられていれば、理性や徳を培うことができたはずである。しかし、実際には社会的制約が女性を受動的で消費的な存在へと追いやったことを指摘している。

現代においても、この批判は示唆的である。職業的・教育的機会が不十分であれば、人は潜在的な力を発揮できず、社会からも限定的にしか評価されない。したがって、この言葉は今日でもなお、教育と自立の重要性、そして人間を単なる「感覚の対象」として見る視線の危険性を警告するものとして有効である。

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