「読者の手を取って丘を駆け下りるのではなく、私は読者を多くの部屋を持つ家へと導き、そのひとつひとつの部屋に彼をひとり残したいのです」

- 1935年9月10日~2019年1月17日(83歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 詩人、作家、ピュリッツァー賞受賞者
英文
”Instead of taking the reader by the hand and running him down the hill, I want to lead him into a house of many rooms, and leave him alone in each of them.”
日本語訳
「読者の手を取って丘を駆け下りるのではなく、私は読者を多くの部屋を持つ家へと導き、そのひとつひとつの部屋に彼をひとり残したいのです」
解説
この言葉は、詩と読者の関わり方についての独自の考えを示している。作者が読者を一方向に強く導くのではなく、詩を通じて多様な解釈や思索の空間を提供し、読者自身に自由な体験を委ねたいという姿勢が表れている。ここでの「多くの部屋」とは、詩が持つ多層的な意味や感覚の広がりを象徴している。
メアリー・オリバーの詩は、自然の描写や日常の観察を基盤としながらも、決して単一の答えを押し付けるものではなかった。彼女は詩を通じて読者を「家」に招き入れ、解釈や感情を自由に探求させる余白を与えた。この姿勢こそが、彼女の詩が幅広い読者に深く響く理由のひとつである。
現代においても、この考えは文学や芸術全般に通用する。教育や評論の場では作者の意図を重視しがちだが、本当の豊かさは読者自身が部屋を巡り、孤独の中で発見することにある。強制ではなく余白を与える表現こそ、受け手に持続的な思索を促す。この名言は、作品と読者の関係を「導きと自由の両立」として再定義しているのである。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
「メアリー・オリバー」の前後の名言へ
申し込む
0 Comments
最も古い