「ボーアのために論文や手紙を書いた後には、常に自分の研究に役立つ何かを学んだという印象を持った。そしてなぜか、自分の研究のための時間が足りないと感じたことは一度もなかった。私は常に時間を見つけることができた」

- 1901年12月5日~1976年2月1日(74歳没)
- ドイツ出身
- 物理学者、ノーベル物理学賞受賞者
英文
”After I had written a paper or letter for Bohr, I always had the impression that I had learned something which I could use for my own work. And somehow, I never felt that I had too little time for my own work. I always found time.”
日本語訳
「ボーアのために論文や手紙を書いた後には、常に自分の研究に役立つ何かを学んだという印象を持った。そしてなぜか、自分の研究のための時間が足りないと感じたことは一度もなかった。私は常に時間を見つけることができた」
解説
この言葉は、師弟関係の中での学びの相互性を示している。ハイゼンベルクはニールス・ボーアのもとで学び、その思想的影響を強く受けた。ボーアのために文書を準備することは一見自分の時間を奪う作業のように思えるが、実際にはそれを通じて新たな理解を得て、自らの研究に還元できたのである。他者のための仕事が自己の成長につながるという科学者の実体験が表れている。
また、ハイゼンベルクは「常に時間を見つけることができた」と述べており、これは研究者としての姿勢を象徴している。多忙な中でも、真に重要なことに取り組む意志と集中力があれば、時間は生み出せるという実感である。時間管理以上に、学問への情熱と優先順位の明確さが鍵であったといえる。
現代においても、この言葉は普遍的な教訓を含む。共同研究や教育活動はしばしば「自分の研究時間を奪う」と見なされがちだが、実際には新しい視点や刺激をもたらす。ハイゼンベルクの言葉は、人との交流や協働が自己の研究を豊かにすることを示す貴重な証言であり、学問の営みが孤独な努力だけでなく、対話と協力によって支えられていることを強調している。
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