「私は平和な時代において、もっと大規模に原子核物理学や宇宙線の研究を行うことを思い描いていた。近代物理学を小規模に行うことは全く無意味である」

- 1901年12月5日~1976年2月1日(74歳没)
- ドイツ出身
- 物理学者、ノーベル物理学賞受賞者
英文
”I had imagined doing nuclear physics and cosmic ray work in greater style in peace time. To do modern physics in a small way is of no use of all.”
日本語訳
「私は平和な時代において、もっと大規模に原子核物理学や宇宙線の研究を行うことを思い描いていた。近代物理学を小規模に行うことは全く無意味である」
解説
この言葉は、近代物理学の研究には大規模な施設や資源が不可欠であるという認識を表している。ハイゼンベルクが活躍した時代、原子核物理学や宇宙線研究は急速に発展しており、実験規模は従来の物理学と比較にならないほど拡大していた。小規模な研究室では成果を上げにくく、国家的支援や大規模設備が必要となっていたのである。
この背景には、第二次世界大戦による研究環境の制約があった。戦時中は軍事優先のため基礎研究に十分な資源が割かれず、ドイツの研究者たちは規模の限界に直面していた。ハイゼンベルクの言葉は、平和が訪れればこそ、本格的な科学研究が可能になるという切実な願望を反映しているといえる。
現代から見ると、この言葉は先見的である。大型加速器や国際的観測プロジェクトのように、現代物理学はますます大規模化している。「小規模では意味がない」という指摘は、ビッグサイエンスの時代を予見したものであり、今日の科学研究のあり方に通じている。ハイゼンベルクのこの発言は、科学の進展におけるスケールの重要性を示す証言として重みを持つ。
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