「天体物理学について触れたい。そこではパルサーやクエーサーの奇妙な性質、そしておそらく重力波もまた、一つの挑戦と見なすことができる」

ヴェルナー・ハイゼンベルク(画像はイメージです)
ヴェルナー・ハイゼンベルク(画像はイメージです)
  • 1901年12月5日~1976年2月1日(74歳没)
  • ドイツ出身
  • 物理学者、ノーベル物理学賞受賞者

英文

”I would like to mention astrophysics; in this field, the strange properties of the pulsars and quasars, and perhaps also the gravitational waves, can be considered as a challenge.”

日本語訳

「天体物理学について触れたい。そこではパルサーやクエーサーの奇妙な性質、そしておそらく重力波もまた、一つの挑戦と見なすことができる」

解説

この言葉は、20世紀後半の天体物理学における未知への挑戦を示している。パルサー(高速で自転する中性子星)やクエーサー(強力な電磁波を放つ活動銀河核)は、発見当初は従来の天文学では説明が難しい現象であり、物理学者にとって大きな謎であった。また重力波もアインシュタインの一般相対性理論から予言されていたが、長らく観測が不可能な「挑戦」とされていた。

ハイゼンベルクは、量子力学の構築者として基礎物理学に深く関わりながらも、宇宙規模の現象が新たな物理学の試金石になると理解していた。量子論と相対論が交わる領域としての天体物理学は、当時も現在も理論物理の前線を切り開く分野である。彼の言葉には、未知の現象が科学をさらに進展させる契機になるという確信が表れている。

現代において、この予見は実際に実現している。1970年代以降、パルサーやクエーサーの研究は高エネルギー宇宙物理学を発展させ、2015年には重力波がついに直接観測された。これは宇宙物理学における一大成果であり、まさにハイゼンベルクが言及した「挑戦」が人類によって克服された瞬間である。この言葉は、科学の進歩において挑戦を受け入れる姿勢の重要性を強調しているのである。

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