「ラテンアメリカ、そして他の地域においても、多くのカトリック信者の間に、個人的道徳と公的道徳の間のある種の分裂が見られる」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”One sees in Latin America, and also elsewhere, among many Catholics a certain schizophrenia between individual and public morality.”

日本語訳

「ラテンアメリカ、そして他の地域においても、多くのカトリック信者の間に、個人的道徳と公的道徳の間のある種の分裂が見られる」

解説

この言葉は、信仰と倫理の不一致という問題を指摘している。ベネディクト16世は、個人の信仰生活や私生活においては敬虔であっても、公的領域や社会的行動においてはその信仰が反映されないという矛盾を「分裂」と表現している。つまり、信仰が日常と社会の両方で一貫して生きられていないという批判である。

この背景には、ラテンアメリカを含む多くの国で、カトリック文化が社会に深く根付いている一方で、政治や経済の領域で汚職や不正が蔓延している現実がある。ベネディクト16世は、信仰を単なる儀式や個人的慰めにとどめるのではなく、公的責任や社会的倫理にまで広げる必要性を訴えているのである。

現代においても、この問題は依然として存在する。企業不祥事や政治腐敗の中で、個人としては信仰や倫理を重んじながらも、組織の一員として不正に加担することがある。この言葉は、真の信仰とは社会的実践と不可分であり、個人と公的行動の間に整合性を持たなければならないことを強く示している。

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