「支配的な考え方は、教会は法の教会ではなく愛の教会であるべきであり、罰してはならないというものであった。こうして、罰が愛の行為となり得るという意識は消滅した。このことは、非常に善良な人々の間にさえ、奇妙な心の暗さをもたらした」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”The prevailing mentality was that the Church must not be a Church of laws but, rather, a Church of love; she must not punish. Thus, the awareness that punishment can be an act of love ceased to exist. This led to an odd darkening of the mind, even in very good people.”

日本語訳

「支配的な考え方は、教会は法の教会ではなく愛の教会であるべきであり、罰してはならないというものであった。こうして、罰が愛の行為となり得るという意識は消滅した。このことは、非常に善良な人々の間にさえ、奇妙な心の暗さをもたらした」

解説

この言葉は、愛と規律の関係についての神学的かつ倫理的な問題提起である。ベネディクト16世は、第二バチカン公会議以降に強調された「愛の教会」という理念が、法や罰を否定する方向に偏ってしまったことを指摘している。本来、愛と規律は対立するものではなく、適切な罰は愛に根ざすものである。しかし、その認識が失われた結果、信仰共同体における秩序と健全さが損なわれる危険性が生じた。

特に「punishment can be an act of love」という言葉は、正しい矯正や懲戒が人を真の善へ導く手段であることを意味する。無制限の寛容や無関心は、見かけ上は優しさのようであっても、実際には相手を誤りから解放せず、真の愛から遠ざける可能性がある。この視点は、教育や共同体生活においても重要な意味を持つ。

現代への応用として、この言葉は規律を伴わない愛がかえって人を迷わせるという教訓を示している。例えば、家庭教育や社会規範においても、適切な制裁や指導がなければ共同体の健全性は保たれない。ベネディクト16世の指摘は、愛と正義の調和を回復する必要性を強調しており、現代社会においても深い示唆を与えている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「教皇ベネディクト16世」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る