「人命が関わるところでは、常に時間は限られている。にもかかわらず、世界は『大きすぎて潰せない』とされる金融機関を救済するために、政府が膨大な資源を引き出すのを目撃してきた」

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
英文
”Where human lives are concerned, time is always short, yet the world has witnessed the vast resources that governments can draw upon to rescue financial institutions deemed ‘too big to fail.’”
日本語訳
「人命が関わるところでは、常に時間は限られている。にもかかわらず、世界は『大きすぎて潰せない』とされる金融機関を救済するために、政府が膨大な資源を引き出すのを目撃してきた」
解説
この言葉は、人命の尊さと政治経済の優先順位の逆転を批判的に示している。人の命を救う場面では資源や時間が足りないとされることが多い一方で、金融機関が危機に陥ると莫大な資金が即座に投入される。この対比は、現代社会が経済的安定を命以上に優先しているという倫理的問題を浮き彫りにしている。
ここでの核心は、「time is always short」という言葉に込められた現実の切迫感である。災害や貧困、医療危機に直面する人々にとって、即時の支援が不可欠である。しかし、その緊急性はしばしば後回しにされ、経済的利益や制度の維持に偏った判断が下される。ベネディクト16世は、この不均衡が社会正義に反していることを指摘している。
現代への応用として、この言葉は公共政策や国際協力の優先順位を問い直す基準となる。新型感染症のパンデミック対応や貧困地域への支援において、資金不足が言い訳とされる一方、金融市場の混乱には即応する現実がある。この矛盾を克服するために、倫理的視点を持った政治判断が不可欠であると、この言葉は強い警告を発している。
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