「教会は政治的な権力ではない。政党でもない。しかしそれは道徳的な力である」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”The church is not a political power; it’s not a party, but it’s a moral power.”

日本語訳

「教会は政治的な権力ではない。政党でもない。しかしそれは道徳的な力である」

解説

この言葉は、教会の本質的役割を政治から切り離して理解する視点を示している。教会は国家権力や政党のように権力闘争に関わる組織ではなく、道徳的・霊的な権威として存在している。その使命は法律や政策を直接決定することではなく、良心を教育し、真理と善の基準を社会に示すことにある。

歴史的背景として、キリスト教会は中世には政治権力と結びつくこともあったが、近代以降はその役割を再定義する必要に迫られてきた。ベネディクト16世の言葉は、教会が権力闘争に巻き込まれるのではなく、道徳的光を放つ存在であることを再確認するものである。特に世俗化が進む現代において、政治的勢力と混同されないことは教会の信頼性を守るために重要である。

現代社会では、宗教と政治の関係はしばしば論争の的となる。しかしこの名言は、教会が直接政治権力を持たなくても、人々の心に働きかけ、社会の倫理的基盤を支える力を持つことを強調している。例えば、人権尊重や平和の推進、生命の尊厳といったテーマは、政治を超えて普遍的な道徳課題である。この言葉は、教会の使命を道徳的・精神的な導きとして再定義している。

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