「私はそれを最良の意味でのサイエンス・フィクションと呼びたい。それは私たちが真の知識に到達しようとするためのビジョンや予想であるが、実際には現実に近づこうとする想像にすぎない」

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
英文
”I would designate as science fiction in the best sense: they are visions and anticipations by which we seek to attain a true knowledge, but, in fact, they are only imaginations whereby we seek to draw near to the reality.”
日本語訳
「私はそれを最良の意味でのサイエンス・フィクションと呼びたい。それは私たちが真の知識に到達しようとするためのビジョンや予想であるが、実際には現実に近づこうとする想像にすぎない」
解説
この言葉は、人間の想像力と真理探究の関係について述べている。人間は現実の全貌を直接把握することはできないため、しばしば想像や予想によってその理解を試みる。その営みは完全な真理ではないが、現実に近づこうとする努力の一形態として意義を持つ。ここで「サイエンス・フィクション」という表現は、単なる娯楽ではなく、未来や真理への接近を可能にする創造的な手段を意味している。
歴史的に、この視点は科学や神学双方に当てはまる。科学理論や哲学的思索も、時に大胆な仮説や想像によって進展してきた。ベネディクト16世は、これらの試みを想像の力による現実への接近として評価しつつ、同時にそれが真理そのものではないことを明確にしている。これは、信仰と理性、科学と神学の関係を考えるうえで重要な観点である。
現代においても、この名言は有効である。AI、宇宙探査、生命科学などの分野では、ビジョンやフィクション的発想が研究の方向性を導いている。同時に、それは常に暫定的なものであり、究極の現実や真理は人間の想像を超えることを忘れてはならない。この言葉は、想像の力を肯定しながらも、謙虚に現実と真理を求め続ける姿勢の重要性を教えている。
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