「すべての道徳問題が中絶や安楽死と同じ道徳的重みを持つわけではない。戦争の遂行や死刑の適用については、カトリック信徒の間でも正当な意見の相違があり得る。しかし中絶と安楽死についてはそうではない」

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
英文
”Not all moral issues have the same moral weight as abortion and euthanasia. There may be legitimate diversity of opinion even among Catholics about waging war and applying the death penalty, but not… with regard to abortion and euthanasia.”
日本語訳
「すべての道徳問題が中絶や安楽死と同じ道徳的重みを持つわけではない。戦争の遂行や死刑の適用については、カトリック信徒の間でも正当な意見の相違があり得る。しかし中絶と安楽死についてはそうではない」
解説
この言葉は、道徳問題の優先度と絶対性の区別を明確にしている。戦争や死刑に関しては状況や解釈の違いから意見の多様性が認められるが、中絶と安楽死は人間の生命そのものに直結するため、交渉や相対化の余地がないとされる。すなわち、生命の尊厳を守ることは絶対的な倫理原則として位置づけられている。
歴史的背景として、この立場はカトリック教会が一貫して主張してきた教えに基づく。特に20世紀以降、生命倫理が重要な課題となる中で、教会は生命の不可侵性を最優先の価値として強調してきた。ベネディクト16世の発言もこの流れに属し、政治的・社会的問題の中で生命の尊重が第一義であることを確認している。
現代社会においては、中絶や安楽死は人権や自由の観点からも議論される。しかしこの名言は、個人の選択や社会的状況を超えて、生命そのものが守られるべき絶対的価値であることを訴えている。具体的には、政策や倫理的判断において、生命尊重が最優先の基準となるべきであり、他の問題よりも重い道徳的責任を負うという視点を提示している。
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