「進化の法則や心理学、社会学から倫理を構築しようとする試みは、結局のところ単に不十分なものとなる」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”Attempts to construct an ethic from the rules of evolution, or from psychology and sociology, end up being simply inadequate.”

日本語訳

「進化の法則や心理学、社会学から倫理を構築しようとする試みは、結局のところ単に不十分なものとなる」

解説

この言葉は、倫理の基盤を科学的説明のみに依拠することの限界を指摘している。進化論、心理学、社会学は人間の行動や社会の成り立ちを説明するが、そこから善悪の基準や普遍的な倫理を直接導き出すことはできない。ベネディクト16世は、倫理は単なる経験則や適応の産物ではなく、超越的な基盤を必要とすると強調している。

歴史的に、近代以降の思想は自然科学や社会科学を通じて倫理を説明しようとしてきた。しかしその多くは、相対主義や功利主義に傾き、普遍的で人間の尊厳を守る倫理を提示するには不十分であった。ここで示されているのは、人間を超えた真理や神の意志に根ざす倫理観の必要性である。

現代においても、この指摘は妥当である。例えば、生物学的な進化の視点だけでは、弱者を守る倫理や人権の尊重を十分に説明できない。心理学や社会学も有益な洞察を与えるが、最終的な善悪の基準を提供するものではない。この名言は、倫理には科学的説明を超える根拠が不可欠であると警告し、信仰や哲学に基づく普遍的価値の重要性を示している。

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