「神を単なる不可解で侵しがたい意志主義の中に押しやるとき、神はより神的になるのではない。むしろ真に神的な神とは、自らをロゴスとして啓示し、ロゴスとして私たちのために愛をもって行動し、今もなお行動し続ける神である」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”God does not become more divine when we push him away from us in a sheer, impenetrable voluntarism; rather, the truly divine God is the God who has revealed himself as logos and, as logos, has acted and continues to act lovingly on our behalf.”

日本語訳

「神を単なる不可解で侵しがたい意志主義の中に押しやるとき、神はより神的になるのではない。むしろ真に神的な神とは、自らをロゴスとして啓示し、ロゴスとして私たちのために愛をもって行動し、今もなお行動し続ける神である」

解説

この言葉は、神の本質を理性と愛において理解するべきだという立場を示している。神を人間の理解を超えた純粋な意志の存在として遠ざけるのではなく、ロゴス(理性・言葉)として自己を啓示する神こそ真に神的であると説いている。これは、神が人間との関係において愛をもって行動される存在であることを強調する。

歴史的背景として、この考えはキリスト教神学における信仰と理性の調和に根差している。ヨハネ福音書の「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった」に示されるように、キリスト教においてロゴスは神の本質を示す中心概念である。ベネディクト16世はこれを受け、神は理性と愛をもって人間に働きかける存在であると明確にした。

現代社会においても、この名言は重要な意味を持つ。宗教が時に盲目的服従や排他的意志主義として理解される危険がある中で、ここでは神を理性と愛の源泉として捉える視点が提示されている。具体的には、信仰と科学、宗教と倫理の対話において、神は人間理性を超えつつも調和する形で関わる存在である。この言葉は、神は人間に愛をもって働きかけ続けるロゴスであることを強調している。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「教皇ベネディクト16世」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る