「伝記を書くことがどれほど難しいかは、自分の恋愛について本当の真実を知っている人がどれほど少ないかを考えれば、誰にでも理解できるのです」

レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
  • 1892年12月21日~1983年3月15日(90歳没)
  • イギリス出身
  • 作家、評論家、ジャーナリスト、フェミニスト

英文

”Just how difficult it is to write biography can be reckoned by anybody who sits down and considers just how many people know the real truth about his or her love affairs.”

日本語訳

「伝記を書くことがどれほど難しいかは、自分の恋愛について本当の真実を知っている人がどれほど少ないかを考えれば、誰にでも理解できるのです」

解説

この言葉は、伝記というジャンルの根本的な限界を示している。レベッカ・ウェストは、人の人生を書き記そうとする際に、最も親密で核心的な部分である恋愛ですら、真実を知る者は本人以外ほとんどいないという現実を突きつけている。つまり、伝記は事実を網羅するものではなく、限られた証言や解釈に基づいた不完全な構築物に過ぎないという洞察である。

20世紀には歴史的偉人や芸術家の伝記が盛んに書かれたが、それらはしばしば美化や脚色に満ちていた。ウェストはそうした風潮を批判し、人間の内面的真実を描く困難さを指摘している。特に恋愛という領域は、外部の証言や表面的な事実だけでは到底把握できないため、伝記は常に「部分的な真実」にとどまる。

現代においても、この視点は重要である。著名人の伝記や回想録は多く出版されるが、それらは必ずしも完全な真実を反映しているわけではない。ウェストの言葉は、伝記を読む際にその限界と選択的叙述の性質を意識すべきだという警告であり、同時に人間理解の難しさを鋭く浮き彫りにしているのである。

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