「アメリカにおける参政権獲得の闘いは、イギリスよりもはるかに困難でした。その理由は、それがはるかに容易であったからです」

- 1892年12月21日~1983年3月15日(90歳没)
- イギリス出身
- 作家、評論家、ジャーナリスト、フェミニスト
英文
”The American struggle for the vote was much more difficult than the English for the simple reason that it was much more easy.”
日本語訳
「アメリカにおける参政権獲得の闘いは、イギリスよりもはるかに困難でした。その理由は、それがはるかに容易であったからです」
解説
この言葉は、政治的権利獲得の矛盾と逆説を表現している。レベッカ・ウェストは、アメリカの女性参政権運動がイギリスよりも容易に受け入れられる素地を持ちながらも、その「容易さ」ゆえにかえって闘争が長引き、複雑化したことを指摘している。つまり、明白に不可能であれば激しい抵抗と団結が生まれるが、可能性が開かれている場合には、かえって曖昧さや妥協が運動を困難にするという逆説である。
この背景には、イギリスの女性参政権運動が激しい弾圧と対立の中で急進化したのに対し、アメリカでは州ごとに部分的な参政権が認められ、段階的な前進があったという歴史的事情がある。そのため、アメリカの運動は「もう少しで達成できる」という状況が続き、結果として不均衡で複雑な闘争になった。ウェストはその点を皮肉を込めて描写している。
現代においても、この逆説は広く応用できる。改革が「完全に拒絶される」のではなく「一部は受け入れられる」場合、人々は油断や分裂に陥りやすい。そのため運動はかえって長引き、実現が難しくなる。ウェストの言葉は、容易さが必ずしも達成の近道ではなく、時に最大の障害となるという鋭い洞察を示しているのである。
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