「記憶は、体験し、そして再び体験させることによって、個人的な人生そのものを支配するほどの力を持っており、そのため人はただ生きてきただけにすぎないのです」

レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
  • 1892年12月21日~1983年3月15日(90歳没)
  • イギリス出身
  • 作家、評論家、ジャーナリスト、フェミニスト

英文

”The memory, experiencing and re-experiencing, has such power over one’s mere personal life, that one has merely lived.”

日本語訳

「記憶は、体験し、そして再び体験させることによって、個人的な人生そのものを支配するほどの力を持っており、そのため人はただ生きてきただけにすぎないのです」

解説

この言葉は、記憶の再体験が人生に及ぼす強大な影響力を示している。レベッカ・ウェストは、過去の出来事が記憶によって繰り返し呼び戻され、現在の感情や思考を左右することを強調している。つまり、人は単に一度きりの経験を持つのではなく、記憶によって何度も経験をやり直す存在であるという洞察である。

この考え方は、20世紀初頭に発展した心理学や精神分析とも響き合う。当時はトラウマや無意識の研究が進み、記憶が人間の行動や人格形成に深く関わることが明らかにされていた。ウェストの言葉も、人生が過去の記憶に強く規定されるという時間と意識の重なりを批評的に表現している。

現代においても、この視点は大きな意味を持つ。人はしばしば過去の記憶に縛られ、喜びや苦しみを繰り返し体験する。そのため、実際には「ただ生きた」というよりも、記憶の再演を通じて生き続けていると言える。ウェストの言葉は、人生を理解する上で記憶の力を見逃してはならないという鋭い洞察を与えているのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「レベッカ・ウェスト」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る