「私たちは互いについて皆間違っているのではないでしょうか。出会う人々について、ただ書かれることのない小説を作り上げているだけなのではないでしょうか」

レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
  • 1892年12月21日~1983年3月15日(90歳没)
  • イギリス出身
  • 作家、評論家、ジャーナリスト、フェミニスト

英文

”I wonder if we are all wrong about each other, if we are just composing unwritten novels about the people we meet?”

日本語訳

「私たちは互いについて皆間違っているのではないでしょうか。出会う人々について、ただ書かれることのない小説を作り上げているだけなのではないでしょうか」

解説

この言葉は、人間関係における認識の不確かさと想像の介在を表現している。レベッカ・ウェストは、他者について抱く理解が必ずしも真実ではなく、むしろ自分の想像力によって構成された物語である可能性を示唆している。つまり、人は他者を「ありのまま」ではなく、自分の物語の登場人物として解釈しているという洞察である。

この発想は、20世紀初頭の心理学やモダニズム文学の潮流と共鳴している。当時はフロイトらによる無意識の理論や、意識の相対性への関心が高まり、客観的な真実よりも主観的な解釈や心的投影が注目されていた。ウェストの表現も、人間関係が「事実の認識」ではなく「物語の創作」として進行していることを批評的に捉えている。

現代でもこの考え方は重要である。SNSや日常生活において、人は他者を断片的な情報から判断し、自分なりの「小説」を作り上げてしまう傾向がある。ウェストの言葉は、他者理解における想像と誤解の不可避性を示しつつ、その中でいかに誠実に向き合うかを考える契機を与えているのである。

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