「文章を書くことは、人と人との間の伝達とは関係がなく、一人の人間の心の異なる部分同士の伝達にすぎないのです」

- 1892年12月21日~1983年3月15日(90歳没)
- イギリス出身
- 作家、評論家、ジャーナリスト、フェミニスト
英文
”Writing has nothing to do with communication between person and person, only with communication between different parts of a person’s mind.”
日本語訳
「文章を書くことは、人と人との間の伝達とは関係がなく、一人の人間の心の異なる部分同士の伝達にすぎないのです」
解説
この言葉は、文学の本質を内面的な営みとして捉える視点を示している。レベッカ・ウェストは批評家であり作家として、書く行為を単なる情報伝達の手段ではなく、自己の内的世界を整理し、異なる意識の層を結びつける作業として理解していたと考えられる。この観点は、20世紀初頭の心理学や精神分析の影響を強く受けた思想と響き合っている。
この発言はまた、書く行為の孤独性を強調するものでもある。文章が他者に読まれることを意図しつつも、実際にはまず書き手自身の心の中で、感情、理性、直感といった異なる要素を統合しようとする試みである。つまり、書くことは「自己の中の対話」であり、結果として外部の読者に届くものであっても、その起点は常に内的な調和の追求にある。
現代においても、この視点は重要である。SNSやメッセージのように即時的で対人的なコミュニケーションが主流となった時代においても、本格的な文章や創作は、自己を理解し、異なる内的声を調整する営みである。ウェストの言葉は、書くことを人間の心の深い構造に根ざした行為として捉える洞察を与えているのである。
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