「快楽、快適さ、自立が偶像とされる社会の中で、家庭生活にとって最大の危機は、人々が心を閉ざし、自己中心的になることである」

- 1920年5月18日~2005年4月2日(84歳没)
- ポーランド出身
- ローマ教皇、哲学者、神学者
英文
”The great danger for family life, in the midst of any society whose idols are pleasure, comfort and independence, lies in the fact that people close their hearts and become selfish.”
日本語訳
「快楽、快適さ、自立が偶像とされる社会の中で、家庭生活にとって最大の危機は、人々が心を閉ざし、自己中心的になることである」
解説
この言葉は、ヨハネ・パウロ2世が現代社会の価値観と家庭の危機について警鐘を鳴らしたものである。快楽・快適さ・個人の自立といったものは一見魅力的だが、それらが人間関係や共同体への責任を犠牲にしてまで追求されると、家庭の絆が崩壊するという根本的な問題を指摘している。
歴史的背景として、この発言は20世紀後半の急速な個人主義化、消費社会の台頭、家族形態の多様化の中で語られた。ヨハネ・パウロ2世は、家庭が「小さな教会」としての役割を持ち、人間の愛と奉仕の学校であると強調した。だが、社会が「自己の満足」ばかりを追い求めるようになると、人々は互いに仕え合うことを忘れ、家庭という共同体は成り立たなくなると懸念したのである。
現代においても、この名言は自己中心的価値観と家庭の崩壊の関係を見つめ直す視点を与える。スマートフォンの普及や働き方の変化などにより、家族間の対話や共感が薄れる中、人々は無意識のうちに「心を閉ざす」生活に陥りやすい。この言葉は、家庭を守るためにはまず心を開き、他者のために生きることを学ぶ必要があるという普遍的な真理を伝えているのである。
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