「私はこの大地に口づけする。それはまるで母の手に接吻するかのように。祖国は私たちの地上の母なのだから。この崇高で困難な時に、祖国の人々と共にいることは、私の務めであると信じている」

教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
  • 1920年5月18日~2005年4月2日(84歳没)
  • ポーランド出身
  • ローマ教皇、哲学者、神学者

英文

”I kiss the soil as if I placed a kiss on the hands of a mother, for the homeland is our earthly mother. I consider it my duty to be with my compatriots in this sublime and difficult moment.”

日本語訳

「私はこの大地に口づけする。それはまるで母の手に接吻するかのように。祖国は私たちの地上の母なのだから。この崇高で困難な時に、祖国の人々と共にいることは、私の務めであると信じている」

解説

この言葉は、ヨハネ・パウロ2世が祖国ポーランドへの深い愛と献身を表現したものである。大地への口づけは単なる儀礼ではなく、母なる祖国への敬意と感謝を象徴する行為である。祖国を「地上の母」と呼ぶことで、彼は国家を血縁と同等の存在と捉え、そのために苦しむ民と共に立つことを誓っている。

歴史的背景として、この発言は1979年の教皇としての初帰国時に、共産主義体制下のポーランドに降り立った際のものとされている。当時、ポーランドは弾圧と不自由の中にあり、ヨハネ・パウロ2世の訪問は精神的解放の象徴となった。彼の一挙手一投足は、信仰と愛国心に支えられた平和的抵抗のメッセージでもあった。

現代においても、この名言はアイデンティティ・連帯・犠牲の精神を考える上で普遍的な力を持つ。国家や文化への忠誠は盲目的従属ではなく、共に苦しみ、支え合う責任としての帰属意識を意味する。この言葉は、祖国とは単なる地理的単位ではなく、魂のよりどころであり、困難な時に共にあるべき家族のような存在であることを教えているのである。

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