「意思決定についての議論の多くは、意思決定を行うのは上級経営者だけであり、または上級経営者の決定だけが重要であると仮定している。これは危険な誤りである」

ピーター・ドラッカー(画像はイメージです)
ピーター・ドラッカー(画像はイメージです)
  • 1909年11月19日~2005年11月11日(95歳没)
  • オーストリア出身
  • 経営学者、思想家、著述家、「現代経営学の父」

英文

”Most discussions of decision making assume that only senior executives make decisions or that only senior executives’ decisions matter. This is a dangerous mistake.”

日本語訳

「意思決定についての議論の多くは、意思決定を行うのは上級経営者だけであり、または上級経営者の決定だけが重要であると仮定している。これは危険な誤りである」

解説

この言葉は、意思決定の分散性と重要性を強調している。経営の現場ではトップだけでなく、現場の担当者や中間管理職も日常的に重要な判断を下している。上層部の意思決定だけに注目すれば、組織全体の意思決定の実態を見誤ることになる。ドラッカーは、組織の成果を決定づけるのはしばしば現場に近い人々の判断であることを見抜いていた。

背景には、知識労働の時代という文脈がある。20世紀後半においては、情報を持つのは必ずしも経営者だけではなく、専門知識を持つ従業員であった。例えば、技術者や研究者が行う小さな決断が、企業の競争力に直結する場合がある。意思決定の価値を上層部に限定することは、組織の柔軟性と適応力を損なう危険を孕んでいた。

現代においてもこの指摘は極めて有効である。顧客対応の現場やプロジェクトチームの判断が、企業の評判や成果を大きく左右する。スタートアップにおいても、大企業においても、権限を分散し、あらゆる階層の意思決定を尊重する文化が競争力を高める。ドラッカーのこの言葉は、組織の健全な成長に不可欠な意思決定のあり方を示している。

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