「これから誕生しようとしている新しい産業は、情報とは無関係であると、確実に、あるいは90％の確率で言うことができる」
- 1909年11月19日～2005年11月11日（95歳没）
- オーストリア出身
- 経営学者、思想家、著述家、「現代経営学の父」
英文
”We can say with certainty – or 90% probability – that the new industries that are about to be born will have nothing to do with information.”
日本語訳
「これから誕生しようとしている新しい産業は、情報とは無関係であると、確実に、あるいは90％の確率で言うことができる」
解説
この言葉は、ドラッカーが未来の産業構造について言及したものである。20世紀後半には情報技術が急速に発展し、経済の中心が情報産業に移ると広く考えられていた。しかしドラッカーは、情報はあくまで基盤的な技術であり、真に新しい産業は人間の生活や社会の根本的なニーズに応える分野から生まれると予測したのである。つまり、情報は不可欠だが、それ自体が新産業の核心ではないと位置づけた。
この発想は、彼が一貫して強調した知識社会の多様性と関わっている。情報はツールであり、そこから派生する新産業は医療、環境、エネルギー、バイオテクノロジーなど、人間の基盤的課題に直結する領域に現れると考えられた。ドラッカーは情報を絶対視せず、それを超えた実用的・社会的な課題解決こそが未来の成長を牽引すると見抜いていた。
現代の状況を見てもこの洞察は妥当である。AIやビッグデータは確かに情報を扱う技術だが、それが実際に産業として大きく展開するのは医療診断の高度化や再生可能エネルギー管理など、情報以外の課題に適用されたときである。ドラッカーの言葉は、未来のイノベーションを読み解く上で、情報そのものよりも応用先の社会的価値に注目すべきことを示している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか？
