「私は基本的に『人間』という動物を憎み嫌悪する。しかしジョンやピーター、トマスといった個々人を心から愛している」

ジョナサン・スウィフト(画像はイメージです)
ジョナサン・スウィフト(画像はイメージです)
  • 1667年11月30日~1745年10月19日(77歳没)
  • アイルランド出身
  • 作家、風刺家、聖職者

英文

”Principally I hate and detest that animal called man; although I heartily love John, Peter, Thomas, and so forth.”

日本語訳

「私は基本的に『人間』という動物を憎み嫌悪する。しかしジョンやピーター、トマスといった個々人を心から愛している」

解説

この言葉は、抽象的な人類観と具体的な人間関係の矛盾を鮮やかに表現している。スウィフトは「人類」という全体を冷笑的に見つめ、その愚かさや残酷さを批判する一方で、身近な友人や知人に対しては愛情を注ぐことができると述べている。つまり、人間一般に対する嫌悪と、個別の人間に対する愛情を区別しているのである。

18世紀の社会では、戦争や腐敗、貧困といった問題が人類全体への失望を引き起こしていた。スウィフトは風刺作家として、人間社会の愚行を厳しく糾弾したが、それはあくまで抽象化された「人間」像に対してであった。個々人においては善良さや愛すべき性質を認めることができる点に、この言葉の人間観の複雑さが表れている。

現代においても、この感覚は共感を呼ぶ。社会や人類全体の行動には失望を覚えても、身近な人々との関係には温かさを感じることは多い。スウィフトの言葉は、人間の集合としての愚かさと、個人としての愛すべき側面を同時に捉える視点を与えており、人間存在の二面性を鮮やかに描き出している。

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