「これらの法律家の間では、一度行われたことは再び合法的に行えるというのが格言である。したがって彼らは、かつて下された判決のうち、正義や人類共通の理性に反するものを特に注意深く記録している」

ジョナサン・スウィフト(画像はイメージです)
ジョナサン・スウィフト(画像はイメージです)
  • 1667年11月30日~1745年10月19日(77歳没)
  • アイルランド出身
  • 作家、風刺家、聖職者

英文

”It is a maxim among these lawyers, that whatever hath been done before, may legally be done again: and therefore they take special care to record all the decisions formerly made against common justice and the general reason of mankind.”

日本語訳

「これらの法律家の間では、一度行われたことは再び合法的に行えるというのが格言である。したがって彼らは、かつて下された判決のうち、正義や人類共通の理性に反するものを特に注意深く記録している」

解説

この言葉は、スウィフトの法律制度に対する痛烈な批判を表している。彼は、法律家が過去の判例を前例として利用することで、誤った決定や不正義が繰り返し正当化されると指摘している。本来であれば正義を守るべき制度が、形式や慣習を優先するあまり、理性や公平さを損なうことを皮肉っているのである。

18世紀のイギリスでは、判例法が重視され、過去の裁判の決定が新たな判断の根拠とされた。しかしスウィフトは、その仕組みがしばしば不正義を固定化する結果につながることを風刺している。これは単に法曹界への批判にとどまらず、権威を盲目的に踏襲する人間社会全体への警句として理解できる。

現代においても、この指摘は響く。判例や制度が時に時代遅れとなり、社会の正義に反することがある。スウィフトの言葉は、過去の誤りを単に繰り返すのではなく、批判的に見直す必要を説いており、法や制度に限らずあらゆる組織や社会規範に適用できる普遍的な教訓となっている。

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