「さらに問うべきは、思考と現実との関係である。注意深く観察すれば、思考それ自体が実際の運動の過程にあることが分かる」

デヴィッド・ボーム(画像はイメージです)
  • 1917年12月20日~1992年10月27日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身(後にイギリスに帰化)
  • 理論物理学者、哲学者

英文

”Then there is the further question of what is the relationship of thinking to reality. As careful attention shows, thought itself is in an actual process of movement.”

日本語訳

「さらに問うべきは、思考と現実との関係である。注意深く観察すれば、思考それ自体が実際の運動の過程にあることが分かる」

解説

この言葉は、思考と現実の関係性に対する根本的な問いを提起している。デヴィッド・ボームは、思考を単なる静的な概念の集積ではなく、絶えず動き続けるプロセスとして捉えた。ここで重要なのは、思考は外界を反映するだけの受動的なものではなく、現実と相互に関わり合いながら変化する「運動」であるという視点である。

歴史的に見ると、哲学や科学はこの問題に長く取り組んできた。プラトン以来、思考は理想的な形態を映すものと理解されてきたが、ボームの考えはむしろヘラクレイトス的な「流動する現実」に近い。量子力学に関わった彼の視点からすれば、思考自体が動的であり、現実の一部として存在するという理解は自然な帰結である。

現代においても、この指摘は大きな意味を持つ。私たちは思考を使って現実を理解しようとするが、同時に思考自体が現実の流れの一部であることを自覚しなければならない。ボームの言葉は、思考と現実の二元的分離を超え、思考そのものを現実の運動の中に位置づける視点を示しており、哲学的にも実践的にも深い洞察を与えている。

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