「相対性理論において運動は連続的で、因果的に決定され、明確に定義されているが、量子力学においては不連続であり、因果的に決定されず、明確にも定義されていない」

- 1917年12月20日~1992年10月27日(74歳没)
- アメリカ合衆国出身(後にイギリスに帰化)
- 理論物理学者、哲学者
英文
”In relativity, movement is continuous, causally determinate and well defined, while in quantum mechanics it is discontinuous, not causally determinate and not well defined.”
日本語訳
「相対性理論において運動は連続的で、因果的に決定され、明確に定義されているが、量子力学においては不連続であり、因果的に決定されず、明確にも定義されていない」
解説
この言葉は、相対性理論と量子力学の根本的な対比を端的に示している。デヴィッド・ボームは量子論の解釈に深く関与し、既存の枠組みの矛盾を鋭く指摘した人物である。相対性理論はマクロの世界を扱い、時間と空間を連続的かつ厳密に記述できる。一方、量子力学はミクロの世界を扱い、粒子の振る舞いは確率的であり、不連続で曖昧な側面を持つ。
20世紀の物理学は、この二つの理論の対立に大きく揺さぶられてきた。アインシュタインは「神はサイコロを振らない」と述べ、量子力学の不確定性を受け入れなかったが、ボームはパイロット波理論を提案することで、量子現象を新しい因果的枠組みで説明しようと試みた。この試みは当時主流から外れたが、物理学における因果律と確率論の関係を再考させる重要な視点を提供した。
現代においても、この対比は未解決の問題として残っている。相対性理論と量子力学を統一する「量子重力理論」の探求は、依然として物理学最大の課題である。ボームの指摘は、理論的整合性を求める探究心と、自然界の複雑さを受け止める柔軟性の両方の重要性を示しているのである。
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