「しかし今日、人々がその言葉を一般的に用いるとき、それはすべての部分が相互依存しているものを意味する。それは単に相互作用のためだけでなく、意味のためにも、存在のためにもである」

デヴィッド・ボーム(画像はイメージです)
  • 1917年12月20日~1992年10月27日(74歳没)
  • アメリカ合衆国出身(後にイギリスに帰化)
  • 理論物理学者、哲学者

英文

”But the way people commonly use the word nowadays it means something all of whose parts are mutually interdependent – not only for their mutual action, but for their meaning and for their existence.”

日本語訳

「しかし今日、人々がその言葉を一般的に用いるとき、それはすべての部分が相互依存しているものを意味する。それは単に相互作用のためだけでなく、意味のためにも、存在のためにもである」

解説

この言葉は、全体性と相互依存の概念を説明している。デヴィッド・ボームは「ホロムーブメント」という理論を提唱し、宇宙や人間社会を固定した個別の存在ではなく、全体としての連続的な流れの中で理解しようとした。この文脈で、言葉が示す「全体性」とは、部分が独立して存在するのではなく、互いに依存し合い、その存在理由や意味までも他の部分との関係によって成り立つという考え方である。

歴史的に、このような思想は東洋哲学や有機体的な自然観とも通じる。仏教の「縁起」や道家の自然観もまた、部分と全体の不可分の関係を強調してきた。ボームはこれを科学的な視点から捉え直し、量子物理学における非局所性や相関性を社会や思想に拡張して論じたのである。意味と存在さえも関係性の中で成立するという指摘は、伝統的な西洋の個別主義的な発想に対する批判とも言える。

現代においても、この考えは環境問題やグローバル社会の課題に深く関わる。生態系は部分が独立して存在するのではなく、相互依存の中で維持される。経済や文化もまた、国境を越えた相互作用なしには理解できない。ボームの言葉は、全体と部分のつながりを忘れずに物事を捉える視点の重要性を改めて教えているのである。

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