「恐怖を抱いているならば、あなたは伝統に縛られ、ある指導者やグルに従うことになる。伝統に縛られ、夫や妻を恐れているとき、あなたは個々の人間としての尊厳を失う」

• 1895年5月11日～1986年2月17日（90歳没）
• インド出身
• 思想家、精神的指導者

英文

”If you have fear, you are bound by tradition, you follow some leader or guru. When you are bound by tradition, when you are afraid of your husband or your wife, you lose your dignity as an individual human being.”

日本語訳

「恐怖を抱いているならば、あなたは伝統に縛られ、ある指導者やグルに従うことになる。伝統に縛られ、夫や妻を恐れているとき、あなたは個々の人間としての尊厳を失う」

解説

この言葉は、恐怖と従属の関係を鋭く示している。人が恐怖を抱くと、安心や保護を求めて伝統や権威、あるいは個人的な関係に従属するようになる。クリシュナムルティは、このような恐怖による従属が人間の自由を奪い、本来の尊厳を失わせると警告する。

特に注目すべきは、家庭や夫婦関係にまでこの洞察が及んでいる点である。夫や妻に対する恐れによって行動や思考を縛られるとき、それは愛や信頼に基づく関係ではなく、支配と服従の構造となる。ここで失われるのは、人間が持つべき自由な意志と主体性である。

現代社会においても、伝統や権威、さらには家庭内の役割分担が個人の尊厳を抑圧する場面は少なくない。クリシュナムルティの言葉は、恐怖を超えて自立した人間関係を築くことこそが、尊厳ある生き方の基盤であると強調しているのである。

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