「今日、常に規律的な解決策を求め、過度な教義上の『安心』を欲し、もはや存在しない過去を頑なに取り戻そうとする者は、物事を静的かつ内向きに捉えている。このようにして、信仰は他のイデオロギーの一つに成り下がってしまう」

教皇フランシスコ(画像はイメージです)
教皇フランシスコ(画像はイメージです)
  • 1936年12月17日~2025年4月21日(88歳没)
  • アルゼンチン出身
  • カトリック教会第266代ローマ教皇

英文

“Those who today always look for disciplinarian solutions, those who long for an exaggerated doctrinal ‘security,’ those who stubbornly try to recover a past that no longer exists – they have a static and inward-directed view of things. In this way, faith becomes an ideology among other ideologies.”

日本語訳

「今日、常に規律的な解決策を求め、過度な教義上の『安心』を欲し、もはや存在しない過去を頑なに取り戻そうとする者は、物事を静的かつ内向きに捉えている。このようにして、信仰は他のイデオロギーの一つに成り下がってしまう」

解説

この言葉は、信仰を硬直化させる危険性を指摘している。フランシスコは、教義や規律を過度に強調するあまり、信仰が本来持つ柔軟さや開かれた性質を失い、結果として単なるイデオロギーに堕してしまう危険を警告している。信仰は生きた現実と結びつくものであり、単なる制度的安心や過去への回帰ではない。

歴史的に、教会は改革と停滞を繰り返してきた。トリエント公会議や近代以降の様々な教義的強調は、時に信仰を防衛する手段となったが、同時に閉鎖性や形式主義を招くこともあった。フランシスコはこうした傾向を批判し、信仰を現代において生き生きと証しするための創造的勇気を求めている。

現代社会では、宗教が政治的・文化的イデオロギーの道具として利用される危険がある。この言葉は、信仰がそのような枠組みに閉じ込められず、神との生きた関係として維持される必要を強調している。規律や教義は重要だが、それに固執しすぎれば、信仰は生命力を失い、ただの観念に過ぎなくなるのである。

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