「至福とは、私たちの願望が成就されること、そして私たちの願望が節度あるものであることにある」

- 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
- ローマ帝国(現アルジェリア)出身
- 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父
英文
”Blessedness consists in the accomplishment of our desires, and in our having only regular desires.”
日本語訳
「至福とは、私たちの願望が成就されること、そして私たちの願望が節度あるものであることにある」
解説
この言葉は、人間の幸福が単に願いが叶うことだけではなく、その願い自体が正しいものであることに依存するという深い洞察を示している。アウグスティヌスは、欲望の内容が無秩序であれば、たとえそれが満たされても魂は混乱し、真の至福には至らないと考える。したがって、節度ある、理性に従った欲望を持つことが幸福への第一歩であると説いている。
この思想の背後には、ストア派哲学やプラトン主義の影響が見られる。アウグスティヌスはこれらの哲学に接しながら、キリスト教的価値観と統合しようと試みた。神の意志と一致する秩序だった欲望だけが、魂を平安に導く。つまり、自己抑制と神への従順を通じて整えられた欲望こそが、真に満たされるべき対象である。
現代においても、際限のない欲望が満たされることが必ずしも幸福につながらないという事実は、多くの心理学的知見とも一致する。満たされるべき欲望を選び、それに向かって行動することが、持続的な満足や内面的な平穏につながる。この名言は、幸福とは自己の内なる秩序と欲望の選択にかかっているという普遍的な真理を端的に表している。
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