「なすべきことを行っても、それは義務であるゆえに称賛に値しない」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”In doing what we ought we deserve no praise, because it is our duty.”

日本語訳

「なすべきことを行っても、それは義務であるゆえに称賛に値しない」

解説

この言葉はアウグスティヌスにしばしば帰されるが、彼の著作にそのままの文言は見られない。しかし、内容は彼の倫理的理解と親和性がある。アウグスティヌスは、人間が善を行うのは神の恩寵に導かれてのことであり、それ自体が当然の義務であって自慢すべき功績ではないと説いた。善を行う者は誇るのではなく、謙虚に受け入れるべきだという態度がここに表れている。

この発想は、イエスの「僕がすべきことをしただけだ」という福音書の言葉(ルカ17:10)とも響き合う。アウグスティヌスは、信仰と行為における人間の功績を強調するのではなく、義務を果たすことは当然であり、むしろそれが欠けることが問題だとした。したがって、義務の遂行に対する称賛は不要であり、感謝すべきは神の恩寵である。

現代においても、この言葉は普遍的な意義を持つ。社会的責任や日常の義務を果たすことは称賛の対象ではなく、当然の行為として理解されるべきである。義務を果たすことは最低限の責任であり、そこからさらに自発的に善を行うことが価値を持つという視点は、倫理的行動の基盤を考えるうえで有効である。

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