「人は山の高さに驚嘆し、海の大波に驚き、川の長い流れに感嘆し、大洋の広がりに驚き、星々の円運動に心を奪われる。しかし自分自身については素通りし、驚くことをしない」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”Men go abroad to wonder at the heights of mountains, at the huge waves of the sea, at the long courses of the rivers, at the vast compass of the ocean, at the circular motions of the stars, and they pass by themselves without wondering.”

日本語訳

「人は山の高さに驚嘆し、海の大波に驚き、川の長い流れに感嘆し、大洋の広がりに驚き、星々の円運動に心を奪われる。しかし自分自身については素通りし、驚くことをしない」

解説

この言葉はアウグスティヌスの『告白』に見られる有名な一節である。彼は、自然界の壮大さに魅了されながらも、人間自身の魂の神秘こそ最大の驚嘆の対象であると説いた。外界の秩序や美は確かに神の創造を示すが、それ以上に、神の似姿として造られた人間の内面は深遠であり、探求に値するものだとしたのである。

アウグスティヌスは、人が外の世界に注意を向けすぎて、自分自身を省みることを怠る危険を指摘した。彼にとって自己認識は神認識への道であり、魂の深みを探ることこそ神に至る鍵であった。自然を観察することは良いが、それを超えて「自分とは何か」を問うことが不可欠だとしたのである。

現代においても、この言葉は鋭い意義を持つ。人々は科学技術や宇宙探査によって外界の驚異を追い求めているが、しばしば自己理解を後回しにしがちである。人間存在の神秘にこそ最大の驚きがあるというアウグスティヌスの指摘は、自己省察や内面的探求の重要性を改めて思い起こさせる。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「アウグスティヌス」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る