「奇跡は自然に反するものではなく、ただ私たちが自然について知っていることに反するだけである」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”Miracles are not contrary to nature, but only contrary to what we know about nature.”

日本語訳

「奇跡は自然に反するものではなく、ただ私たちが自然について知っていることに反するだけである」

解説

この言葉はアウグスティヌスの『神の国(De Civitate Dei)』に見られる思想を要約したものである。彼は奇跡を自然法則そのものの否定ではなく、人間の理解を超えた自然の働きの顕れとして捉えた。つまり、奇跡は神が自然の秩序を破壊するものではなく、私たちの知識の限界を示す現象であると説いたのである。

この考えは、当時の異教徒や懐疑主義者への応答でもあった。彼らは奇跡を自然の理に反するものとして非合理的だと批判したが、アウグスティヌスは、自然そのものを造られた神にとって奇跡は自然と矛盾しないと反論した。奇跡は未知の自然の可能性を開示するものと見なすことで、信仰と理性の調和を図ろうとしたのである。

現代においても、この言葉は意味を持つ。科学の進展によって多くの「奇跡」が自然法則として説明されるようになったが、それは人間の知識が拡張されたことを示すにすぎない。奇跡とは自然の外にあるのではなく、自然の奥深さに隠された次元を垣間見る体験だというアウグスティヌスの洞察は、信仰と科学の対立を超える視点を提供している。

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