「二人の友が争いの裁きをあなたに求めたなら、受けてはならない。なぜなら一人の友を失うからである。しかし二人の見知らぬ者が同じことを求めてきたなら、受け入れよ。なぜなら一人の友を得るからである」

- 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
- ローマ帝国(現アルジェリア)出身
- 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父
英文
”If two friends ask you to judge a dispute, don’t accept, because you will lose one friend; on the other hand, if two strangers come with the same request, accept because you will gain one friend.”
日本語訳
「二人の友が争いの裁きをあなたに求めたなら、受けてはならない。なぜなら一人の友を失うからである。しかし二人の見知らぬ者が同じことを求めてきたなら、受け入れよ。なぜなら一人の友を得るからである」
解説
この言葉はしばしばアウグスティヌスに帰されるが、彼の著作に出典は確認されていない。したがって、真正の言葉ではなく、後世に彼の名の下で広まった道徳的警句と考えられる。
ただし、その内容はアウグスティヌスの倫理的姿勢と一定の親和性を持つ。彼は人間関係における愛と正義のバランスを重視し、友愛の名のもとに不正義に与してはならないと説いた。この引用の趣旨は、友人関係の中立性の難しさと、正義を守ることの困難を風刺的に表現したものと解釈できる。
現代においても、この言葉は人間関係や社会的役割の中で共感を呼ぶ。職場や家族、友人関係の中での争いごとに関わると、しばしば公平さを保つのが困難であり、関わった側が不利益を被ることもある。親しい間柄では裁き手を避け、距離のある関係では公平を尽くす方が望ましいという含意は、今なお実生活に通じる実際的な知恵といえる。
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