「もし私がある定式を与えられても、その意味を知らなければ何も学ぶことはできない。だが、すでに知っているのなら、その定式は私に何を教えるのか」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”If I am given a formula, and I am ignorant of its meaning, it cannot teach me anything, but if I already know it what does the formula teach me?”

日本語訳

「もし私がある定式を与えられても、その意味を知らなければ何も学ぶことはできない。だが、すでに知っているのなら、その定式は私に何を教えるのか」

解説

この言葉はアウグスティヌスの真正の文言ではなく、彼の認識論的議論を要約した後世の表現と考えられる。アウグスティヌスは『教師論(De Magistro)』などで、言葉や記号は真理そのものを与えるのではなく、内なる理性や神の照らしによって理解されると論じている。その文脈において、この引用は彼の思想を簡潔に示したものと見なすことができる。

アウグスティヌスにとって、外的に与えられる言葉や公式は学びのきっかけにすぎず、真の理解は内的に働く理性と神の光によって得られる。公式や記号は媒介であって、知識の源泉そのものではないという考えは、彼の神学的認識論を支える重要な要素であった。

現代においても、この指摘は学習や教育に大きな意味を持つ。単なる暗記や形式的な理解では本質に到達できず、理解の主体は常に学ぶ者自身の内的な気づきにある。教育が一方的な情報伝達にとどまらず、学ぶ者の主体的思考を促すべきであるという点で、このアウグスティヌス的洞察は今日なお示唆的である。

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