「すべての戦争の目的は平和である」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”The purpose of all wars, is peace.”

日本語訳

「すべての戦争の目的は平和である」

解説

この言葉は、戦争の最終的な目標は平和の回復にあるという逆説的な真理を示している。アウグスティヌスは『神の国』において戦争について論じ、正義のために戦うことはやむを得ない場合があるが、その目的は征服や支配ではなく、秩序と平和を取り戻すことにあると強調した。ここには、彼が唱えた「正戦論」の核心が表れている。

歴史的背景として、アウグスティヌスはローマ帝国末期の混乱期に生き、蛮族の侵入や内乱を目の当たりにした。その中で彼は、完全な非暴力を唱えるのではなく、悪を抑止し共同体を守るための戦争は正当化され得ると考えた。しかし、それは常に平和のための手段にとどまるべきであり、戦争そのものを目的化してはならないとした。

現代においても、この言葉は深い示唆を与える。多くの戦争は建前として平和を掲げながら、実際には権益や支配のために行われてきた。しかしアウグスティヌスの言葉は、戦争の正当性を厳しく吟味し、その終着点が真の平和であるかを問い続ける基準を与えている。つまり、平和のためでなければ戦争は成立せず、また平和の実現を忘れた戦争は正義を失うという警告なのである。

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