「アメリカはイスラムを理解する必要がある。なぜならこれは社会から人種問題を消し去る唯一の宗教だからである。私がイスラム世界を旅した際、アメリカであれば『白人』と見なされる人々と出会い、語り合い、共に食事をした。しかしイスラムという宗教によって、彼らの心から『白人』という態度は取り除かれていた」

- 1925年5月19日~1965年2月21日(39歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 黒人解放運動家、公民権活動家
英文
”America needs to understand Islam, because this is the one religion that erases from its society the race problem. Throughout my travels in the Muslim world, I have met, talked to, even eaten with people who in America would have been considered ‘white,’ but the ‘white’ attitude had been removed from their minds by the religion of Islam.”
日本語訳
「アメリカはイスラムを理解する必要がある。なぜならこれは社会から人種問題を消し去る唯一の宗教だからである。私がイスラム世界を旅した際、アメリカであれば『白人』と見なされる人々と出会い、語り合い、共に食事をした。しかしイスラムという宗教によって、彼らの心から『白人』という態度は取り除かれていた」
解説
この言葉は、マルコム・Xが晩年に強調したイスラムの普遍性と人種平等の力を示すものである。彼はかつて「ネーション・オブ・イスラム」で活動し、アメリカ社会における黒人と白人の分断を強調したが、メッカ巡礼を経てイスラムの普遍的な教えに触れることで視野を広げた。彼にとってイスラムは、肌の色を超えて人間を同胞として結びつける力を持つ宗教であった。
この名言が語られた背景には、1960年代アメリカの深刻な人種差別と公民権運動がある。マルコム・Xは黒人の自立と誇りを訴えると同時に、世界の視点からアメリカの問題を照射しようとした。イスラム世界での経験は、彼にとって人種差別が必然ではなく、宗教や文化によって克服可能であることを示す証拠であった。
現代においてもこの言葉は示唆に富む。移民社会や多文化共生が進む中で、依然として民族や宗教による対立が存在する。しかしマルコム・Xの視点は、共通の価値観や信仰、あるいは普遍的な倫理を媒介とすれば、人種的境界を超えて共生できる可能性を示している。例えばスポーツや芸術の場では、人々が出自を超えて一つの目標や感動を共有することがあるが、それは彼が語ったイスラムの役割に通じるものと言えるであろう。
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