「性的支配という問題は、愛という征服と降伏の変化する運動の可能性に、完全に心を閉ざした魂の悪夢の中にしか存在しえない。」

ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
  • 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、評論家、公民権運動家

英文

”The question of sexual dominance can exist only in the nightmare of that soul which has armed itself, totally, against the possibility of the changing motion of conquest and surrender, which is love.”

日本語訳

「性的支配という問題は、愛という征服と降伏の変化する運動の可能性に、完全に心を閉ざした魂の悪夢の中にしか存在しえない。」

解説

この言葉でボールドウィンは、愛と権力の関係を深く洞察している。愛とは、互いに支配し合うことではなく、征服と降伏が流動的に入れ替わる動的な関係である。そこには柔軟さと相互性が求められ、一方的な優越や支配の固定化は本質的に愛から逸脱している。

ボールドウィンが言う「性的支配」という観念は、相手を恐れ、自分を守りすぎる心から生まれる。つまり、変化や vulnerability(もろさ)を受け入れられない魂が作り出す幻想であり、それが「悪夢」と呼ばれる理由である。愛においては、時に自分が優位に立ち、時に相手に身を委ねる。その往復があるからこそ関係は豊かになりうる。

現代においても、この視点は重要である。恋愛やパートナーシップを「勝ち負け」や「支配服従」といった構図で捉えると、関係は破壊的になる。愛は流動性を受け入れる勇気であり、支配の不安を超えて他者と向き合う営みであると、ボールドウィンは強調している。

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