「苦しみから解放されることほど望ましいものはないが、支えを奪われることほど恐ろしいものもない」

ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
  • 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、評論家、公民権運動家

英文

”Nothing is more desirable than to be released from an affliction, but nothing is more frightening than to be divested of a crutch.”

日本語訳

「苦しみから解放されることほど望ましいものはないが、支えを奪われることほど恐ろしいものもない」

解説

この言葉は、人間の苦悩と依存の二面性を描いている。人は苦しみから自由になりたいと願う一方で、その苦しみの中で頼ってきた支えや習慣を失うことを恐れる。たとえそれが不健全な依存であっても、失うことは不安をもたらし、時に苦悩以上の恐怖となるのである。

ボールドウィンがこのように語った背景には、社会的抑圧や個人的な苦難の経験がある。差別や孤独に苦しみながらも、その環境の中で築いた防御的な習慣や考え方を手放すことは容易ではなかった。解放は同時に未知への直面であり、そこには新たな不安が潜むことを彼は見抜いていたのである。

現代においても、この洞察は普遍的である。病気、依存、人間関係、さらには社会制度においても、人は苦しみから解放されたいと願いながら、その過程で失うものを恐れる。自由は安堵と恐怖の両方を伴うというこの逆説は、人生の変化に向き合う際の根源的な人間の姿を映し出している。

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