「いかなる社会においても、最も危険な存在は、失うものを持たない人間である」

ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
  • 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、評論家、公民権運動家

英文

”The most dangerous creation of any society is the man who has nothing to lose.”

日本語訳

「いかなる社会においても、最も危険な存在は、失うものを持たない人間である」

解説

この言葉は、社会的不平等が生み出す危険な存在を鋭く指摘している。人間は財産、地位、希望など守るべきものがある限り、社会秩序の中で生きようとする。しかし、何も持たず失うものがないとき、人は恐れるものがなくなり、暴力や破壊的な行動に走る可能性が高まる。社会にとってそれは最も危険な存在となるのである。

ボールドウィンがこの洞察に至った背景には、アメリカにおける人種差別と貧困の現実がある。黒人や貧困層は機会を奪われ、絶望に追いやられることで、しばしば「失うもののない人間」と化した。ボールドウィンは、社会がこのような人々を生み出す構造自体が危険であり、彼ら個人を責めるのではなく社会全体の責任として捉えるべきだと訴えている。

現代においても、この言葉は強烈な警告である。経済格差や社会的不正義が拡大するほど、「失うもののない人々」は増え、暴動やテロ、社会不安の火種となる。社会の安全は抑圧や監視ではなく、すべての人に生きる意味と守るものを与えることによってこそ確保されるというボールドウィンの洞察は、今なお普遍的な真理である。

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