「さらにあらゆる伝説には真実の残滓が含まれており、言語の根源的な機能は、それを記述することによって宇宙を支配することである」

ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
  • 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、評論家、公民権運動家

英文

”Every legend, moreover, contains its residuum of truth, and the root function of language is to control the universe by describing it.”

日本語訳

「さらにあらゆる伝説には真実の残滓が含まれており、言語の根源的な機能は、それを記述することによって宇宙を支配することである」

解説

この言葉は、伝説と真実、言語と支配の関係を示している。伝説は単なる虚構ではなく、必ず何らかの歴史的・文化的真実の断片を含んでいる。そして言語は、その伝説や現実を表現することで、人間が世界を理解し、さらには支配しようとする手段となる。つまり、言語は知識や文化を超えて、宇宙に秩序を与える力を持つのである。

ボールドウィンの視点には、彼の文学者としての自覚が反映されている。言葉は単に事実を伝えるだけではなく、社会の価値観や人々の思考を形成する力を持っている。伝説が共同体の歴史意識を形づくるように、言語は現実そのものを規定し、行動を方向づける。作家として彼は、言葉の力を最大限に活用して不正義を告発し、真実を示そうとしたのである。

現代においても、この洞察は普遍的である。フェイクニュースやプロパガンダもまた、言語が現実を「支配」しうる例である。同時に、文学や詩が人々の心に力を与えるのも言語の働きである。言語は単なる表現ではなく、世界の見え方そのものを規定する力であるというこの言葉は、現代社会においても強い意味を持ち続けている。

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