「いかなる民族も、重い代償を払わずに文化を手にすることはない」

ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
ジェイムズ・ボールドウィン(画像はイメージです)
  • 1924年8月2日~1987年12月1日(63歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、評論家、公民権運動家

英文

”No people come into possession of a culture without having paid a heavy price for it.”

日本語訳

「いかなる民族も、重い代償を払わずに文化を手にすることはない」

解説

この言葉は、文化の形成には必ず犠牲と苦難が伴うという歴史的真理を示している。文化は自然に与えられるものではなく、戦争、抑圧、飢餓、労働、犠牲といった過程を経て生み出され、受け継がれていく。豊かな文化の背後には、常にその代償を払った人々の存在があるのである。

ボールドウィンがこの言葉を語った背景には、アメリカの黒人文化と奴隷制の歴史がある。黒人の音楽や文学、芸術は世界的に大きな影響を与えたが、その文化は奴隷制や差別という過酷な現実の中で培われたものであった。文化は苦難の記憶と切り離すことができないことを、彼は鋭く指摘している。

現代においても、この洞察は普遍性を持つ。日本の伝統文化も、ヨーロッパの芸術も、背後には必ず歴史的犠牲がある。文化の享受は、その代償を払った人々の記憶を引き受けることでもあるというボールドウィンの言葉は、文化を単なる消費ではなく責任ある継承として捉える視点を与えてくれる。

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