「権力と注目が人にもたらす影響は自己の増幅であり、それはやがて共感を殺す腫瘍のようなものとなる」

ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
  • 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 歴史家、文筆家、政治評論家

英文

”The effect of power and publicity on all men is the aggravation of self, a sort of tumor that ends by killing the victim’s sympathies.”

日本語訳

「権力と注目が人にもたらす影響は自己の増幅であり、それはやがて共感を殺す腫瘍のようなものとなる」

解説

この名言は、権力と名声が人間の自己を肥大化させ、最終的には他者への共感や思いやりを失わせるという、人間心理と社会的地位に関する鋭い観察を示している。ヘンリー・アダムズは、権力や注目を浴びる人々が、自己中心性を強め、それが一種の「腫瘍(tumor)」のように人格を蝕んでいくと警告している。これは単なる傲慢の問題ではなく、人間関係や社会的感受性の破壊につながる深刻な変質を意味している。

この洞察は、アメリカの政界や社交界を内側から見てきたアダムズ自身の体験に裏打ちされている。彼は多くの政治家や著名人の変化を目の当たりにし、権力を得た者が次第に孤立し、他者の感情を理解する能力を失っていく過程を観察していた。特に「共感を殺す(killing the victim’s sympathies)」という表現は、権力が人間性を破壊する様を極めて感情的かつ冷徹に描き出している

現代においても、名声と権力が個人に及ぼす影響は深刻であり、SNSやメディアによる過剰な自己露出が、共感の希薄化や他者への想像力の欠如を招く現象は枚挙にいとまがない。この名言は、名声や地位を得たときこそ、自我の膨張に抗い、共感を保ち続ける倫理的責任があることを、静かだが強く訴えている。

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