「作家の影響力にとって重要なのは、五百人に読まれるか、五十万人に読まれるかという数の差ではない。もしその五百人を選ぶことができれば、彼は五十万人に届くのだ」

ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
ヘンリー・アダムズ(画像はイメージです)
  • 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 歴史家、文筆家、政治評論家

英文

”The difference is slight, to the influence of an author, whether he is read by five hundred readers, or by five hundred thousand; if he can select the five hundred, he reaches the five hundred thousand.”

日本語訳

「作家の影響力にとって重要なのは、五百人に読まれるか、五十万人に読まれるかという数の差ではない。もしその五百人を選ぶことができれば、彼は五十万人に届くのだ」

解説

この名言は、真の影響力とは単なる読者数の多寡ではなく、誰に届くかにかかっているというヘンリー・アダムズの洞察を示している。表面的には読者数が多いほうが作家の成功と思われがちだが、アダムズは「質の高い読者」「社会的・知的に影響力のある読者」に届くことの方が、結果的にははるかに広範な波及効果を生むと考えている。

ここで言う「五百人を選ぶ」という発想には、思想の伝播は少数の媒介者によって拡大するという現実が前提にある。すなわち、作家がその作品を知的エリートや思想的中枢層に届けることができれば、それが自然と大衆へと拡散していくという理論である。この見解は、アダムズが教育・政治・文学といった影響力の交差点に立っていた人物だからこそ語れる、知的伝播のリアリズムである。

現代においても、インフルエンサーやキーパーソンの存在が情報拡散の鍵を握っているように、誰に届くかが「いかに多くに届くか」に先行する。アダムズのこの名言は、深く届くことが、広く届くための第一条件であるという、作家や表現者にとっての本質的な戦略を静かに語っている。

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