「絶対的な自由とは抑制の欠如であり、責任とは抑制である。したがって、理想的に自由な個人とは、自分自身に対して責任を負う者である」

- 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 歴史家、文筆家、政治評論家
英文
”Absolute liberty is absence of restraint; responsibility is restraint; therefore, the ideally free individual is responsible to himself.”
日本語訳
「絶対的な自由とは抑制の欠如であり、責任とは抑制である。したがって、理想的に自由な個人とは、自分自身に対して責任を負う者である」
解説
この名言は、自由と責任の関係を論理的に整理した道徳哲学的命題である。ヘンリー・アダムズは、自由(liberty)が単なる束縛のなさであるならば、それは衝動や欲望のままに行動する「無責任な状態」に等しいと見ている。一方で、責任(responsibility)とは自己に課す「制約」であり、自律的な抑制の意思にほかならない。ゆえに、真に自由な人間とは、外的制約ではなく、自らに律する規律を持った存在であるという結論に至る。
この考えは、アダムズの政治的・歴史的観察に基づいている。彼は自由を誇るアメリカ社会において、無秩序と放縦が「自由」と混同されることに対する警戒心を抱いていた。制度や法律による外的統制ではなく、内面の道徳的責任に基づく自己統制こそが、自由を本質的なものにする鍵であると見なしていたのである。
現代においても、この名言は個人主義や表現の自由が問われる場面で極めて示唆的である。自由を主張することと、それに伴う自己責任・社会的配慮を果たすことは不可分であるという原則が、公共的な議論や倫理的実践に欠かせない。アダムズはこの一言で、自由とは権利であると同時に義務であるという根本原理を明快に言い表している。
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