「生涯に一人の友を得られれば十分、多ければ二人、それ以上となるとほとんど不可能である。友情には、ある種の人生の並行性、思考の共通性、そして目的における競争心が必要なのだ」

- 1838年2月16日~1918年3月27日(80歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 歴史家、文筆家、政治評論家
英文
”One friend in a lifetime is much, two are many, three are hardly possible. Friendship needs a certain parallelism of life, a community of thought, a rivalry of aim.”
日本語訳
「生涯に一人の友を得られれば十分、多ければ二人、それ以上となるとほとんど不可能である。友情には、ある種の人生の並行性、思考の共通性、そして目的における競争心が必要なのだ」
解説
この名言は、本物の友情がいかに得がたく、また深い条件を要するものかを説いている。ヘンリー・アダムズは、友情とは単なる好意や付き合いではなく、深い人生的共鳴と精神的な緊張関係の上に築かれる関係だと述べている。「parallelism of life(人生の並行性)」「community of thought(思考の共通性)」「rivalry of aim(目的の競争)」という三要素は、対等で刺激的な関係性がなければ真の友情は成立しないという認識を示している。
アダムズは、社交が盛んだったワシントン上流社会に属しながらも、形式的な人間関係に違和感を抱いていた知識人である。そのため、彼の言う「友」とは、単なる社交的な「知人」ではなく、人格と志を深く共有できるごくわずかな相手を意味する。こうした友情は、数の多さではなく、質の高さと人生的な一致によってのみ成立すると彼は信じていた。
現代において、SNSなどで「友達」が増えやすい時代であっても、この言葉は響く。多くのつながりの中で、本当に人生をともに考え、悩み、向上し合える関係は数えるほどしか存在しない。アダムズの名言は、友情とは希少な精神的共同体であり、その価値を軽んじてはならないという重みある洞察を私たちに投げかけている。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?